若手社員に求める能力、第1位は「主体性」――自ら考え、行動できる人材をどう育てるか
企業が若手社員に最も身に付けてほしい能力は「主体性」。
『日本の人事部 人事白書2026』の調査で、このような結果が示されました。
指示された仕事をこなすだけでなく、自ら考え、判断し、行動する力。若手社員の育成において重視されているテーマの一つです。
では、主体性を育てるために、上司や職場はどのような関わり方をすればよいのでしょうか。
調査結果から見える、企業が若手に求める能力
2026年3月3日~31日に実施された『日本の人事部 人事白書2026』では、若手社員に最も身に付けてほしい能力について調査しています。
その結果、最も多かったのは「主体性」(29.9%)でした。続いて「問題解決力」(22.8%)、「コミュニケーション力などの対人関係能力」(16.5%)、「一人で業務を遂行する力」(14.4%)となっています。
企業規模による違いも見られます。従業員1001~5000人の企業では「主体性」が36.5%と高い一方、1~100人の企業では「コミュニケーション力などの対人関係能力」(23.6%)や「一人で業務を遂行する力」(18.0%)の割合が比較的高くなっています。
この結果から、企業が若手社員に最も重視する能力は一様ではなく、企業規模によっても違いがあることが分かります。
なお、この調査は「最も身に付けてほしい能力」を一つ選ぶ形式です。
「主体的に動いて」と伝えるだけで、人は動けるのか
「もっと主体的に動いてほしい」「自分で考えて行動してほしい」。
若手社員に対して、このような期待を持つ管理職は多いのではないでしょうか。
しかし、「主体的に動いて」と伝えるだけでは、何をどこまで自分で判断してよいのか、若手社員には分からず、動けないことがあります。
例えば、上司から「自分で考えてやってみて」と言われたものの、実際に行動すると「なぜ相談しなかったのか」と注意される。
あるいは、A先輩とB先輩で指導内容が異なり、どちらに従えばよいのか迷ってしまう。
こうした経験が重なると、「自分で判断するより、指示を待つ方が安全だ」と考えるようになる可能性があります。
ここで見直したいのは、主体的に動くための情報や知識が十分に共有されているかという点です。
仕事の目的や優先順位、判断基準、任されている範囲はもちろん、業務に必要な知識や過去の事例、上司が重視するポイントや仕事の進め方の好みなども、若手社員にとっては大切な判断材料になります。
上司にとっては当たり前のことでも、経験の浅い若手社員には伝わっていないことがあります。
若手の主体性を育てる3つの関わり方
① 判断に必要な情報や知識を共有する
仕事を教える際に「作業」を伝えるだけで終わっていませんか。
部下を育てるには、仕事の目的や背景、優先順位、過去の事例などを伝えることが重要です。
「なぜそうするのか」という理由も共有することで、状況が変わったときにも自分で考える手がかりになります。
また、上司が重視するポイントや仕事の進め方の好みについても、必要に応じて伝えておくと、判断の行き違いを減らすことにつながります。
② 任せる範囲と判断基準を明確にする
「ここまでは自分で判断してよい」「この場合は事前に相談してほしい」と伝えることで、若手社員は行動の見通しを持ちやすくなります。
また、先輩によって指導内容が異なる場合は、職場として共通の判断基準を整理することも大切です。
任せることと、放任することは異なります。
③ 結果だけでなく、判断した過程を振り返る
期待した成果が出なかった場合も、「どのような情報をもとに判断したのか」「ほかにどんな選択肢があったか」と振り返る機会を設けます。
判断に必要な情報が不足していたのであれば、それを補うことも上司の役割です。
結果の良し悪しだけでなく、次の行動につながるフィードバックを心がけます。
主体性を求める前に、判断材料はそろっているか
今回の調査では、若手社員に最も身に付けてほしい能力として「主体性」が最多となりました。
人材育成の現場では、「主体性が足りない」と評価する前に、上司として、部下が自ら考え、判断するための情報や知識が十分に共有されているかを振り返ることも大切です。
主体性を求めるだけでなく、主体的に動けるだけの情報や知識を共有する。
そして、判断する機会を与え、その過程を振り返る。
この積み重ねが、若手社員の自律的な成長を支える一つの方法ではないでしょうか。
当社では、若手社員の主体性向上をテーマに、管理職の関わり方や育成コミュニケーションを実践的に学ぶ研修を提供しています。
若手社員が自ら考え、行動できる組織づくりを支援しています。
出典・調査概要
出典:『日本の人事部 人事白書2026』
調査期間:2026年3月3日~3月31日




