異動を「辞めるきっかけ」にしないために―上司が異動前に伝えたい3つのこと
前回の記事では、人事異動・配置転換を経験した人の56.9%が、異動をきっかけに離職・転職を検討したという調査をご紹介しました。
では、異動を「辞めるきっかけ」にしないために、上司や会社は何ができるのでしょうか。
ポイントは、辞令を伝えることと、本人に意味を伝えることは別だということです。
①「なぜ、あなたなのか」を伝える
「会社で決まったことだから」
これでは、社員にとって異動は「会社都合の出来事」で終わってしまいます。
たとえば、
「○○さんの顧客との関係構築力を、新しい部署でも活かしてほしい」
「次の役割を考えるうえで、この経験を積んでほしい」
など、本人の強みと異動理由を結びつけて伝える。
すると異動は、単なる「配置転換」から「自分への期待」へ意味が変わります。
②「何を期待しているのか」を具体的に伝える
「新しい部署でも頑張って」
これだけでは、本人は何を期待されているのかわかりません。
「まず半年間は○○を経験してほしい」
「これまで培った○○を、新しいチームに広げてほしい」
など、会社や上司が期待していることを具体的に伝える。
人は、自分に何が期待されているのかがわかると、行動を選びやすくなります。
これは異動後の主体性にも関わってきます。
③「本人はどう思っているのか」を聞く
そして、意外と抜けやすいのがここです。
会社が一生懸命説明しても、それだけでは「対話」にはなりません。
「今回の異動について、率直にどう感じている?」
「不安に感じていることはある?」
「今後のキャリアについて、どんなことを考えている?」
と問いかける。
会社側から見れば前向きな異動でも、本人は不安を感じているかもしれません。
その不安を知らないまま、
「期待しているから頑張って」
と送り出しても、気持ちのズレは残ったままです。
異動のときだけ話しても、本音は出てこない
そして、ここが最も重要です。
異動が決まったときだけ突然、
「あなたのキャリアについて話しましょう」
と言われても、社員はなかなか本音を話せません。
だからこそ、日頃の1on1が重要になります。
「今の仕事をどう感じている?」
「どんな仕事を経験してみたい?」
「どんな強みを伸ばしたい?」
「今、仕事で困っていることは?」
こうした対話を普段から積み重ねておけば、上司は本人の価値観や希望を理解できます。
本人にも、「この上司は自分を見てくれている」という感覚が生まれます。
1on1は「面談すること」が目的ではない
1on1を導入したものの、
「毎回何を話せばいいかわからない」
「雑談で終わっている」
「部下から話してくれない」
という企業も少なくありません。
しかし、本来の目的は「月に1回30分話すこと」ではありません。
部下を知り、成長を支援し、会社と本人の方向性をすり合わせること。
その積み重ねがあるからこそ、異動や昇進、配置転換といった大きな変化が起きたときにも対話ができます。
離職の兆候が出てから「どうしたの?」と聞くのではなく、「辞めたい」が出る前から対話する。
これからの離職抑止では、この視点がますます重要になるのではないでしょうか。
弊社では、1on1を「とりあえず面談する制度」にしないための管理職研修や、部下との対話力・質問力、若手社員の主体性向上をテーマとした研修・組織支援を行っています。
「1on1を導入したが形骸化している」
「部下の本音を管理職が把握できていない」
「若手社員の離職を減らしたい」
こうした課題がございましたら、お気軽にご相談ください。
出典:株式会社HRBrain「人事異動・配置転換に関する意識調査」(2026年9月公表)





