「育成キャンセル」後編

ハラスメントを恐れて「何も言わない」から卒業する―部下が育つ指導の3つのポイント

前回の記事では、ハラスメントを恐れるあまり、管理職が必要な指導まで避けてしまう「育成キャンセル」についてご紹介しました。

では、ハラスメントにならず、なおかつ部下の成長につながる指導をするには、どうすればよいのでしょうか。

ポイントは、単に「優しく言う」ことではありません。

①「人」ではなく「行動」に伝える

たとえば、提出期限を何度も守らない部下に、

「だから君は仕事が遅いんだ」
「責任感がないよね」

と言えば、相手の人格や能力そのものを否定する表現になってしまいます。

一方、

「今回、期限を2日過ぎて提出されていました。期限を過ぎると、次の担当者の作業開始も遅れてしまいます」

と伝えれば、話しているのはその人自身ではなく、具体的な行動とその影響です。

指導では、「あなたは〇〇だ」ではなく、「この行動によって、こういう影響が起きている」と伝えることが重要です。

②「事実」と「感情」を分ける

指導がハラスメントと受け取られやすくなる原因の一つが、上司自身の感情です。

「何回言ったらわかるんだ」
「普通はこんなことしないだろう」
「いい加減にしてくれ」

こうした言葉には、事実だけでなく、怒りや苛立ち、そして上司自身の価値観が混ざっています。

まず伝えるべきなのは、

何が起きたのか。
何が求められていたのか。
どのような影響が出たのか。

ここを整理するだけでも、指導は大きく変わります。

③「答えを与える」だけでなく「問い」を使う

そして、もう一つ大切なのが、上司がすべて答えを与えないことです。

「次からこうしなさい」
「これをやっておいて」

だけでは、部下は指示されたことをこなす人になってしまいます。

そこで、

「今回、どこで予定とズレたと思う?」
「次回同じことを起こさないためには、何を変えられそう?」
「何から変えてみる?」

と問いかけてみます。

自分で考え、自分で言葉にしたことは、上司から一方的に言われたことよりも行動につながりやすくなります。

私は、これからの管理職には、「指示する力」だけでなく「問いによって考えさせる力」がますます重要になると考えています。

「ハラスメントを防ぐ」と「主体性を育てる」は両立できる

ハラスメントを恐れて何も言わなければ、部下は育ちません。

だからといって、昔ながらの「厳しく言えば育つ」という指導に戻る必要もありません。

必要なのは、

相手を尊重する。
事実を伝える。
必要なことから逃げない。
そして、問いによって本人に考えさせる。

この4つです。

管理職がこの関わり方を身につければ、ハラスメントを防ぐだけでなく、若手社員の主体性を育てることにもつながります。

弊社では、ハラスメント防止研修だけでなく、管理職のフィードバック力、1on1、若手社員の主体性向上、部下育成を組み合わせた研修・組織支援を行っています。

「管理職が部下にどう伝えればよいかわからない」
「1on1を導入したが、単なる雑談になっている」
「指示待ちの若手を、自分で考えて動ける人材に育てたい」

こうした課題がございましたら、ぜひご相談ください。

ハラスメントを恐れて「何も言わない組織」にするのではなく、安心して伝え合い、人が育つ組織へ。

そのための管理職育成をご支援しています。