「最近の若手は、何を考えているのか分からない」
「言われたことはやるけれど、それ以上のことはしない」
「もっと主体的に動いてほしい」
企業の方から、このようなお話を伺うことがあります。
今、こうした状態を考えるうえで知っておきたいのが、「静かな退職(Quiet Quitting)」です。
■ 会社は辞めない。でも、仕事には深入りしない
「静かな退職」とは、実際に会社を辞めることではありません。
昇進やキャリアアップを積極的に求めず、必要以上に仕事にエネルギーを注がず、決められた仕事を淡々とこなす働き方を指します。
マイナビが2026年に発表した「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」では、20~50代の正社員の46.7%が「静かな退職をしている」と回答しました。前年の44.5%から2.2ポイント増加しています。
年代別では、
20代 50.5%
30代 49.1%
40代 42.3%
50代 46.7%
決して若手だけの問題ではありません。
さらに、「静かな退職」をしている人の73.7%が、今後もその状態を続けたいと回答しています。
【出典:株式会社マイナビ「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」】
■「最近の社員はやる気がない」で終わらせていいのか
ここで注意したいのは、「本人の意欲の問題」と決めつけないことです。
同調査では、静かな退職に至った背景として、「無関心」だけでなく、「評価への不満」「仕事や環境との不一致」「損得を重視するようになった」など、複数のタイプが示されています。
最初から意欲がなかったとは限りません。
「頑張っても評価されない」
「意見を言っても何も変わらない」
「自分の強みを活かせない」
「この会社で成長している実感がない」
こうした経験が積み重なり、「必要以上に頑張らなくていい」「言われたことだけやろう」と考えるようになることもあるでしょう。
つまり、社員の主体性が低いのではなく、主体性を発揮しにくい組織になっている可能性も考える必要があります。
■ 主体性は「もっと主体的に」と言っても生まれない
部下に「もっと自分で考えて」「指示待ちにならないで」と伝えるだけでは、主体性はなかなか高まりません。
重要なのは、上司が答えを与え続けるのではなく、問いかけて考えさせること。
できていることを適切に承認すること。仕事の目的や期待を伝え、自分の仕事が組織にどのような影響を与えているのかを理解できるようにすることです。
私はこれを、単なる「やる気」の問題ではなく、主体性が生まれる環境をどう設計するかという組織課題だと考えています。
「最近、社員が受け身になってきた」
「若手が指示されたことしかやらない」
「管理職が部下の主体性を引き出せていない」
このような状態が見られる場合、社員側だけではなく、上司の関わり方や組織の仕組みを一度見直してみる必要があるかもしれません。
弊社では、若手社員の主体性向上、部下の主体性を引き出す管理職研修、組織課題の可視化など、企業の状況に合わせた人材育成・組織開発をご支援しています。
そして、もう一つ注意したいのが、「静かな退職」よりさらに見えにくい社員の変化です。
「特に不満はありません」「大丈夫です」と言っていた社員から、突然「辞めます」と告げられる――。
次回は、こうした「サイレント退職」と、会社がその前に気づきたいサインについて考えます。





