「パープル企業」とは? 働きやすいのに、なぜ社員は成長を実感できないのか?
残業が少なく、有給休暇も取りやすい。
人間関係も良好で、上司から厳しく叱られることもない。
それなのに、社員が仕事に物足りなさを感じたり、自分の成長に不安を抱いたりすることがあります。
近年、こうした「働きやすさはあるものの、成長機会や働きがいが乏しい職場」を表す言葉として、「パープル企業」が使われています。
ブラック企業でもホワイト企業でもない、という意味合いを持つ言葉ですが、法律上の定義や統一された判定基準があるわけではありません。
若手社員が求めるのは、働きやすさだけではない
2025年6月23日、リクルートマネジメントソリューションズが「新入社員意識調査2025」の分析結果を公表しました。
調査では、仕事をするうえで重視することとして「成長」が35.1%で最多となり、「貢献」が23.8%で続きました。
また、仕事・職場生活における不安として「自分が成長できるか」を選んだ人は30.1%で、前年から4.6ポイント上昇しています。
この調査はパープル企業の実態を直接調べたものではありません。
しかし、若手社員にとって「成長」が重要な関心事の一つであることを示しています。
働きやすさと成長機会は、別の視点で考える
ここからは、人材育成の観点から考えてみたいと思います。
例えば、部下が困っているときに上司がすぐに解決策を教えれば、仕事は円滑に進みます。
しかし、それが繰り返されると、部下自身が考え、判断する機会は少なくなります。
大切なのは、負担を増やすことではなく、本人の成長段階に応じた挑戦の機会をつくることです。
成長を実感できる職場にするために
管理職が見直したいのは、日々の仕事の任せ方と、その後の関わり方です。
① 少し背伸びが必要な仕事を任せる
本人がすでにできる仕事だけでなく、支援があれば達成できる仕事を任せてみる。
難易度が高すぎる仕事ではなく、ストレッチゾーンと言われる「少し背伸び」の仕事から任せましょう。
丸投げにならないよう、目的や期待する成果、相談できる範囲を共有することも忘れずに。
② 答えを教える前に、考えを聞く
「最初に何から進める?」「ほかにどんな方法が考えられる?」と問いかけ、本人が考える機会をつくります。
経験や知識が不足している場合には、必要な助言も行います。
上司先輩として、判断軸も伝えると良いでしょう。
③ できるようになったことを具体的に伝える
「頑張ったね」という言葉に加え、「以前は確認が必要だった判断を、今回は自分でできたね」と、行動の変化を伝えます。
本人が自分の成長に気づくきっかけになります。
「働きやすい職場」から「人が育つ職場」へ
働きやすさと成長は、どちらか一方を選ぶものではありません。
安心して働ける環境があり、その中で新しい仕事に挑戦し、自分の成長を実感できることが理想です。
そのためには、制度や福利厚生の充実だけでなく、社員一人ひとりに成長機会があるか、上司が適切に仕事を任せているか、成長を振り返る機会があるかを確認することも大切です。
社員が辞めないことだけを目標にするのではなく、社員が育ち、力を発揮できる組織をつくる。
これからの人材育成では、そんな視点がますます求められてくるでしょう。
参考資料
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2025」(2025年6月23日公表)
調査対象:2025年3~4月の公開型新入社員導入研修受講者718名、および2023年3~4月のインハウス型新入社員導入研修・WEB学習プログラム受講者2,795名。本文の35.1%、30.1%は後者の調査結果です。





